人生を変える過払い金請求の可能性

今ではあまり目にすることがなくなってきた過払い金請求という言葉ですが、借金生活に苦しむ人の平凡な日々を取り戻すきっかけになるかもしれません。しかし、過払い金請求ができる期限が刻々と迫っており知らないと確実にもったいない結果をもたらします。

過払い金請求とは何でしょうか

一昔前までやたらと目にすることが多かった過払い金請求について、最近はあまり耳にしなくなりました。これには理由があるのですが、まず過払い金請求とは一体何なのかわからなければ自分が対象なのかもわかりません。

過払い金とは自分のお金

最近あまり目にすることがなくなった過払い金請求という言葉の意味を、今ではあまり知らない方も多いでしょう。過払い金とは言葉通りですが、払いすぎたお金のことです。このお金の所在は借金契約における債権者ではなく、債務者にあります。この過払い金は2007年から行われた法改正が発端となって大きな流れになりましたが、今でも件数は少なくなりつつも着実に行われています。

過払い金請求の巨大な流れは、一時期は消費者金融会社を中心とした業界を震撼させました。特に消費者金融会社は経営的に大打撃を受けました。これはもとを正せば消費者金融会社側の過失なのですが、それにしても大きなうねりとなりました。法改正がされるまで、よく考えればテレビのコマーシャルなどで一日中広告や宣伝を目にしていました。今でこそ、様々な芸能人を採用してまた観る機会も増え始めていますが、過払い金請求が最盛期には全くなくなりました。それまで隆盛を極めていた大手の消費者金融が軒並み経営難になり、全ての会社が倒産してしまうのではないかと噂されたほどです。実際に倒産したのは一つや二つではありません。

下火になっている過払い金請求

一時期は毎日のように目にすることが多かった過払い金請求という言葉に最近あまり触れなくなった理由として1番なのは、請求できる期限が迫っていることです。金融関連全体に言える事ですが、取引には時効という概念があります。この過払い金請求に関しても同じ事です。過払い金請求ができる期限は、最後に取引をした日から10年と定められています。

これはつまり、過去に借金をして完済したとします。それが今から何年前かが非常に重要になってきます。例えば今から8年前に全ての借金を返済した場合には、過払い金案件の対象となり手続きはできるようになります。現在が2019年ですので、2009年以前に借金を全て返済してしまった場合にはその日付が非常に重要になります。人間ですので、借金という負い目は忘れたいと思うものです。その為、当時の契約書などは既に廃棄している可能性も少なくはありません。はっきりと何月何日に完済とわかれば問題はないのですが、わからなくても金融会社側には必ず過去の履歴が残っていますので、あまり期待しなくてもまずは手続きをしておいた方が賢明な判断です。

正当な権利としての過払い金

過払い金は前述の通り、債権者のお金ではなく債務者のお金ですのでできる限り満額を取り戻したいものです。満額取り戻すためにはまずはその仕組みをしっかりと把握しなければなりませんので、なぜ過払い金の流れが起きたのか紹介します。

過払い金の時効は2020年です

過払い金が請求できる期限が迫っていることを紹介しましたが、中にはずっと借金生活をしていて、最後の取引が近々だからいつでも請求できると思う方がいるかもしれません。ただこれは一概には言えません。最後の取引から10年以内であれば手続はできますが、全てが対象となるわけではないのです。

法改正が行なわれたのが2007年からで完全に施行されたのが2010年です。2007年に施行が決定してから、大手の消費者金融会社はこぞって金利を下げました。その為、2007年以降に新規で融資契約を結んだ場合、過払い金請求の対象となる案件が激減しています。もちろん、金融会社の中には、2010年の完全施行まで金利を下げなかった会社も多いので、まずはどのような契約だったかと確認する必要があります。それでも2010年以降の金融商品は全て現在の正規の金利にて販売されたものですので、2010年以降の融資契約の中に過払い金請求ができる案件はないことになります。なので、過払い金請求ができる期限は原則的に2020年までといういことになります。あくまでも原則ではありますので、特例もあります。

法改正による過払い金請求

ここで、過払い金請求の動きがなぜ起こったのかを紹介します。金融商品の売買に関わる法律として関わりがあるのが出資法と利息制限法です。この2つの法律が、まさに過払い金請求の発端です。出資法も利息制限法も基本的には、金利に関する法でどちらも金融商品を扱う企業が金利を高くして消費者から暴利を搾取することを認めない法律です。出資法は、正規の業者以外が法外な金利で貸付を行わない為に、全ての金融商品の利率の上限を定めたもの、利息制限法は金融業者が消費者の生活を大きな影響を与えない為に利率を細かく制限するものです。

出資法では、借入額の大小に関わらず、最大上限を29.2%に制限しています。これを超えるような契約を結んだ業者がいれば明確に罰則を科せられます。これに対して、利息制限法では、100万円以上の融資の場合の上限を15%、10万円以上100万円未満の場合には18%、10万円未満では20%としています。ここで重要になるのが利息制限法には明確な罰則がなかったということです。出資法で認められた29.2%の範囲ないであれば、規定を超えても罰則はありませんでした。

グレーゾーン金利が横行した時代

一昔前には、過払い金と共に良く耳にする事が多かったグレーゾーン金利がすべての現況でした。ここでは、金融業界を大きくゆるがすことになったグレーゾーン金利について、かなり詳しく紹介していきたいと思います。

広く横行した法の抜け道

利息制限法に罰則がなかったことで横行した消費者金融会社の不条理が長年どれほどの規模だったか、その大きさはいくつもの消費者金融会社が倒産したことからもわかります。利益制限法の法の抜け道をもう少し詳しく解説すると、基本的に消費者金融会社が販売する金融商品は利益制限法の元で金利が決められなければなりません。本来であれば、契約時の借入額によって、15%から20%の範囲内で契約書の作成がされなければなりません。

しかし、実際には多くの場合で29.2%未満の範囲内で融資が行われていました。多くの契約で多かったのが28%という高利貸しです。本来であれば法律違反であるにも関わらず、出資法の上限内だったために罰則が科されないことを利用したこの利率の差がグレーゾーン金利です。このグレーゾーン金利は広く、長く金融業界に横行した汚点です。なぜこのような状態が何の不思議もなくまかり通っていたのか不思議でしょうがないのですが、当時はなかなか気づく人も発言する人も少なかったのかもしれません。ただいつまでもこのような状態が続きほど、日本は頭の悪い国ではありませんでした。

大きなうねりとなる過払い金

2007年に法改正されることが決まると、多くの消費者金融会社が一斉に金利を下げ始めました。一時はグレーゾーン金利が消費者の任意で結ばれた契約であるために何も問題がないかのような表現をしていましたが、世の中の流れがそんな論調を一瞬にして掻き消し、一気に過払い金全盛時代へと進みます。この時代に突入した当時でも、金融業界は一斉に金利を下げるという悪あがきをします。これは、正規の利率にすることによって消費者に過去の契約も正しかったと錯覚させる意味合いがありました。実際にこれがお得だと感じた人は多くいたはずです。

ただこれは大きな間違いで、確かに法改正によって2010年以降の金融商品についてはどのような場合でも最大で20%を上限金利とされました。さらにこの改正により過去の契約も違反であることが認定され、過払い金として全ての対象者が平等に請求することができるようになったのです。これが大きなうねりの正体で、約10年にわたる過払い金請求全盛時代を巻き起こしました。この流れは、緩やかになりつつも現在まで続いておりあと1年は着実に継続していきます。

過払い金請求の仕組み

過払い金請求の知識があったとしても、実際にどうすればいいのかわからない人も少なくありません。ここでは、正当な権利である過払い金をできるだけ満額取り戻す為には必要ない手続きなどを紹介していこうと思います。

できるだけ多くの過払い金

これまでの過払い金という言葉が生まれた経緯を説明してきましたが、実際に心当たりのある方がどうすれば良いのかわからないケースも少なくないはずです。簡単に言うと手続き自体は個人でも可能です。これまで解説してきた知識を持っていれば、直接消費者金融会社に問い合わせて交渉をすればお金は戻ってきます。ただここで気をつけなければならないのが、相手はお金を払いたくないということです。個人で交渉を行うとほぼ間違いなく低い金額での示談を持ちかけられますし、言葉巧みに理由をつけて本来もらえる金額の半額以下での交渉をしてきます。

消費者からすると借金をしたことは事実であるだけに、負い目から相手の言い分を加味したくなったり、提示された金額が意外に多いと感じ示談に応じてしまうケースが多いです。この示談交渉で、消費者金融会社側は必ず今後一切の請求をしない念書の提出を求めたりもします。これからわかることは、まだ請求する余地があるのでこれ以上はやめて下さいと暗に示しています。これに騙されてはいけません。しっかりと自分のお金を満額取り戻す手続きを進めなければなりません。

弁護士や司法書士に依頼

企業側と交渉を進めるためには、やはり弁護士や司法書士に依頼するのが無難です。もちろんそこには費用がかかりますが、それでもできるだけ満額取り戻す可能性が増えます。弁護士や司法書士は企業側に過去の取引履歴の提出を求めます。これは法律で提出が義務付けられていますので拒否できません。それをもとに正確な過払い金額を割り出し、請求を行います。ここでも企業側は経営状況などを理由に示談交渉を行いますが、それでも個人で行うよりも満額に近い金額での交渉が進みます。

弁護士や司法書士に依頼する場合、気になるのが費用ですが多くの場合事前にお金を支払うことはありません。ほぼ全ての依頼事務所が成功報酬制にしていますので、戻ってきた過払い金の中から差し引かれます。戻ってくるお金が少ない場合でも改めて費用を支払うことはありませんので、得はあっても損はまったくないでしょうようになっています。大体の相場を紹介すると弁護士に依頼した場合は戻ってきたお金の1割から3割、司法書士の場合は1割から2割です。ただ司法書士への依頼は一件につき、140万円までの契約しか取り扱いができません。

まとめ

過払い金について少しでも気になる方はできるだけ早めの対処をおすすめします。今でも市町村主催で無料の相談会などが多く開催されていますので、まずは足を運ぶことから始めましょう。思いもよらない多額のお金が戻ってくるかもしれません。

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