過払い金請求の原因と正しい請求方法

過払い金請求とは、具体的にどのような請求なのでしょうか。消費者金融はかつて法定金利よりも多くの金利でお金を貸していて、これが問題になっていました。その後この金利は最高裁判決で違法となり、払い過ぎた金利を取り戻すために行われたのがこの過払い金請求です。

グレーゾーン金利とみなし弁済

かつての消費者金融には、グレーゾーン金利というものがありました。これは利息制限法と出資法という、2つの法律のいわば抜け穴的なものでした。これと業者側が主張するみなし弁済により、返済に困った利用者の中には多重債務となった人も多かったのです。

2つの法律と金利の設定

ここのところよく見聞きする過払い金請求とは、どのようなものなのでしょうか。元々これは、かつての消費者金融の融資に端を発しています。特に2008年ごろまでは、消費者金融でお金を貸す時には、グレーゾーン金利というものがありました。一言でいってしまえば、法定金利である20パーセントを上回っても、29.2パーセントまでであれば処罰されなかったのです。そのため消費者金融では、20パーセントを超えた金利でお金を貸すことが公然と行われていました。なぜこのようなことが起きたのでしょうか。それには利息制限法と出資法という、2つの法律の存在が大きく関わっています。利息制限法を適用した場合、法定金利は最高で20パーセントになります。ただしこの法律に罰則規定はありませんでした。一方出資法では金利の上限は29.2パーセントとなっていました。これにより20パーセント以上で、しかも29.2パーセントという金利が、法律の抜け穴として、大手を振って罷り通っていました。一つの法律では明らかに違法ですが、もう一つの法律はそうではないため、グレーゾーン金利と呼ばれるようになって行きます。

最高裁判決で違法の判決が出る

このグレーゾーン金利をもとにした融資は、2006年ごろまでは公然と行われており、そのためお金を借りた人たちは、本来よりも高い金利を払っていました。また消費者金融側も、出資法に抵触しなければそれでよしとする、いわゆるみなし弁済を主張していました。もちろん消費者金融だけでなく、貸金業法の監督下にあるノンバンクの金融機関は、ほぼ同じ方法でお金を貸していたのです。このため借金をすると金利の部分がどんどん膨らみ、そのため他から借金をして返済するという、多重債務状態に陥る人が増えて行きました。債務整理をする人も多くなり、これが社会問題化するようになります。しかし2006年1月に、このグレーゾーン金利とみなし弁済の問題に、最高裁が判決を下します。この時の判決は、20パーセント以上の金利は違法であるというものでした。これにより、業者の見方が認められなくなったのみならず、貸金業法の改正も行われることになりました。これによって、徐々に金利が下げられて行くことになります。そしてお金を借りた人々は、払いすぎた金利の分、つまり過払い金を取り戻すことができるようになったのです。

過払い金請求を行うためには

過払い金請求を行えるのは、どのような人たちなのでしょうか。まず2008年ごろまでに消費者金融でお金を借りた人たち、その中でも10年以内に取り引きをした人たちです。自分でもできないことはありませんが、業者との交渉もあるので、弁護士や司法書士に頼むといいでしょう。

自分で過払い金の有無をチェック

元々みなし弁済というのは、かなり厳格な規定が必要なものでした。実際問題として、そのような条件を満たせる業者は皆無に等しかったわけです。その後は過払い金請求を行う人たちが増えて行きました。この場合、業者側から過払い金がありますよと連絡することはまずありません。従って、お金を借りていた人たち自身が、過払い金がないかどうかを自分自身でチェックしなければならないのです。しかし素人には難しいこともあり、弁護士や司法書士に頼む人たちもいました。さらに業者との交渉もあります。このような理由から、自分で全くできないというわけではありませんが、法律の専門家に任せた方が安心できます。流れとしては債権者、つまり業者に取引履歴を開示してもらうことになりますが、自分で取引明細を保管している場合はそれでも構いません。そして現行の金利で計算をし直し、払い過ぎた分がいくらあるかを出してもらいます。次は業者にその返還を要求し、それに応じた場合は和解が成立して、過払い分が手元に戻ってくることになります。ではこの過払い金というのは、どのような条件下で発生する確率が高いのでしょうか。

過払い金請求で注意したいこと

まず2008年ごろまでに消費者金融を含むノンバンクで申し込みを行い、その後利用を続けている人たちです。クレジットカードのキャッシングとか、信販会社のリボ払いなどでも発生することがあります。もし心当たりがあれば、弁護士なり司法書士なりの事務所を訪ねて調べてもらいましょう。ただし注意点が2つあります。最終取り引きから10年が経過している場合は、過払い金が発生していても取り戻すことができません。そのためにも、早めにチェックしておくことをお勧めします。それから過払い請求を行う場合ですが、完済した後に請求を行った時は、基本的にブラックリストに登録されることはありません。しかし過払い請求をして残債、つまり借金がまだ残ってしまった時には、ブラックが登録されてしまいます。この時は通常の任意整理などと同じで、5年間登録されることになります。他にも任意整理をしていて、途中で過払いが見つかった場合もやはりブラックになります。可能であれば一度すべて返済してしまい、そのうえで過払い請求に踏み切った方が、ブラックが登録されることはないので安心できるといえるでしょう。

改正貸金業法と総量規制

その後改正貸金業法が施行されて消費者金融の金利も低くなると同時に、借り入れの上限を定めた総量規制もできました。ただし今でも不当に金利が高く、また取り立ても厳しい業者がいます。それは闇金です。もし闇金を利用した場合は、弁護士や司法書士に相談しましょう。

低くなった消費者金融の金利

その後2010年に、改正貸金業法が施行されるようになりました。これによって法定金利は20パーセントが上限とされ、20パーセントを超えて融資した業者は罰を受けることになったのです。ですから、この後に消費者金融でお金を借りた場合は、グレーゾーン金利もみなし弁済も存在しないため、過払い金請求をすることができません。またこの法律が施行された後、消費者金融は金利を下げるようになって行きました。今では最高金利が17パーセントほどの消費者金融もあります。そしてこの改正貸金業法では、総量規制も規定されるようになりました。総量規制というのは、融資に上限額を設けることで過剰な借り入れを押さえるシステムです。目安としては、その人の年収の3分の1が上限となっています。年収が仮に900万だと、300万円までしか借りることができません。しかもこれは1つの会社だけに通用するのではなく、ノンバンク全体に通用します。そのため、年収900万円の人が、消費者金融Aで200万円を借り、もう1つの消費者金融Bでは100万円しか借りられません。Aで既に200万円借りてしまっているためです。

闇金には気をつけましょう

消費者金融はかなり前はサラ金と呼ばれていて、金利がかなり高いので有名でした。そしてなかなか返済できない時の取り立ても厳しいものでした。しかしその後少しずつ法律の改正が行われ、取り立ても緩やかになって、金利も下げられて行ったのです。とはいっても、金利が20パーセントに下げられていたにもかかわらず、まだこういう形で、本来よりも高い金利を払わされていたわけです。その後多くの消費者金融は、銀行の傘下に入るようになって行きますが、今でも高金利で取り立てが厳しい業者もいます。それは闇金です。闇金は貸金業法に定められた規定を守らず、金利は30パーセント以上というのも珍しくありません。しかも返済できない時には、家や勤務先にまで押しかけたりもします。ブラックでも高額融資を謳う業者、携帯電話しか連絡先がないような業者は、大抵闇金であることが多いのです。どんなに困ったことがあっても、絶対に利用しないようにしましょう。それからもし闇金を利用したことに気づいたら、闇金に強い弁護士や司法書士に相談をして、その指示を守るようにしてください。また闇金の借り入れは返済不要です。

消費者金融と銀行の違いとは

この過払い請求は消費者金融をはじめノンバンクのもので、銀行には存在しません。銀行は貸金業法ではなく、銀行法が適用されるためです。過払い金請求は色々条件もありますので、その点をよく考えたうえで実行に移しましょう。

過払い請求が存在しない銀行

ところでこの過払い請求は、消費者金融をはじめとするノンバンクが対象になっています。ならば銀行は対象ではないのかと、不思議に思うかもしれません。実はこちらは貸金業法ではなく、銀行法の監督下にあります。そのためグレーゾーン金利もみなし弁済も存在しません。銀行から長期間お金を借りていて、最終取り引きから10年以内であっても、過払い請求はできませんので注意しましょう。一般に銀行は金利が低く、消費者金融は上限20パーセントであるのに対し、14パーセントほどです。ですから利用しやすくはあるのですが、その代わり審査が厳しい場合があります。いずれも一長一短がありますので、それをよく見極めたうえで選ぶようにしてください。前出のように、最近は消費者金融の金利もかなり低くなっていますし、審査は消費者金融の方がやや緩くなっています。ただしこちらは総量規制があり、借り入れ状況によってはそれ以上融資してもらえないこともあります。また銀行であっても、他に借り入れが多い、特に多くの会社から少額ずつ借りている時は、審査に通らないということもありますので気をつけるようにしましょう。

過払い金請求前に知っておく点

過払い請求の元々の正体は、グレーゾーン金利とみなし弁済でした。そもそもグレーゾーン金利が、利息制限法と出資法の違いを利用したものであり、このため利用者は実際よりも高い金利を払わされていました。しかし消費者金融側は、みなし弁済を盾に正当化していたわけです。その後最高裁判決で、この金利は違法だという判決が出たため、貸金業法は改正されることになります。4年後の2010年には改正貸金業法が施行されて、金利は上限20パーセントとなりました。過払い請求をする場合は、この改正貸金業法施行よりも前にお金を借りていて、最終取り引きが10年以内である必要があります。この点によく気をつけるようにしましょう。そして過払い請求は自分でするよりも、弁護士や司法書士に任せた方が色々な点で安心です。過払い請求は、完済している場合はブラックリストに載ることはありませんが、今も返済中で残債がある場合はブラックがつきます。それから任意整理をしていて、過払い金が見つかった場合もまた、ブラックがついてしまいますので、心配な場合は弁護士や司法書士への相談の時に訊いてみることをお勧めします。

まとめ

過払い請求は、消費者金融をはじめノンバンクの違法といえる金利と、みなし弁済がもとで起こったものでした。多重債務者が増えたため社会問題化し、結局違法とされて改正貸金業法が成立します。過払い金請求を行う時は、改正貸金業法施行前の利用で、最終取り引きが10年以内であることを必ず確認しましょう。

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