過払い金返還 新しい可能性の扉を開く

過払い金請求とは、文字通り払い過ぎたお金を取り戻す為の手続きです。文字からすると大したことないと思うかもしれませんが、実際には巨額のケースが少なくはありません。ここでは、このような状態になった経緯と方法を紹介していきます。

過払い金が発生する経緯

そもそも過払い金がどうして発生するのでしょうか。お金を払いすぎる案件として起こりうるのは、ほとんどの場合金融に関するものです。本来支払うべきお金と実際に払ったお金に差が出た場合に過払い金が発生します。

過払い金を発生させた金融業界

ではなぜ過払い金が、これほど世の中のトレンドとなるほどの事態になったのでしょうか。それに大きく関わっているのが消費者金融会社です。今から10年以上前の2007年以前に、銀行ではなく消費者金融会社から借入をしていた方が当時の事を思い出してみても当人はあまり覚えていないかもしれません。当人からすると、毎月決められた金額を無理のない範囲ないで返済していたとは覚えていても、金利のことはなかなか記憶にないからです。

当時、銀行からカードローンなどを利用した場合には、最大で20%の範囲内で契約を結んでいたはずです。しかし、消費者金融会社においては時にはその倍とも言える29.2%を上限として金融商品を販売していました。今考えればこの3割近い金利は、異常な利率であり闇金のような高利貸しです。これは正確には法律違反なのですが、当時は暗黙の了解でまかり通っていました。これがのちの過払い金へと流れていきます。この流れは、今でも歩みをゆるめながら着実に進んでおり、一時期は金融業界全体を巻き込んで、経営難という荒波を巻き起こすことになりますので、これから紹介していきます。

債権者と債務者の力関係

ここで、踏まえておかなければならないことがあります。それは債権者と債務者の力関係です。3割近い利率というのは、借金をしている本人でも、借金をしたことがない方でもおかしいと思うものです。ではなぜそのようなことを発言する方がいなかったのでしょうか。もちろん、当時でも問題になりかけたことはあるはずです。特に経済のことを研究してしているような研究者は率先しておかしいという発信をしていたと思いますが、結局このような場合に一番説得力があるのは、借金をしていた債務者にあります。

この債務者の方々が異常と発言しなければ、いくら研究者が訴えたとしてもカヤの外です。債務者が発言しなかった大きな理由として、その力関係があります。債権者と債務者の間には、他にはわからない絶対的な力関係が存在します。借金をしているということは、少なからずそのお金で生活をしているのであり、債権者に不利な情報を発信することによって、急に契約を打ち切られたり、元金を全て一括で返済するように求められる恐怖があります。要は泣き寝入りですが、少なからず言いたくても言えない風潮があったはずです。

注目すべき出資法と利息制限法

過払い金が発生した根拠となる法律が2つあります。この法をしっかりと把握しておくことで、実際に手続きをする際の材料を得る事にもなりますので、ここでは出資法と利息制限法の詳しい意味と功罪を紹介していきます。

出資法と利息制限法の違い

出資法とは金融業を行うことを正規に認められた業者以外、つまり闇金のような業者が利率を勝手に決めて高利貸しを行う事を禁止する為に、金融商品の上限金利を最大で29.2%と定めた法律です。これにより、日本並びに日本で商売をする全ての金融関連業者の扱う商品の金利は29.2%までと決められました。この利率を超えるような契約は明らかに無効であり、それを行った業者や個人事業主は明確に罰せられます。

これに対して、利息制限法とは、金融機関から個人並びに法人が借入契約を行う際に、利息の部分が高すぎるために人間らしい生活を脅かされてはならないという目的のもとに、その借入限度額によって上限金利を定めたものです。大まかに3つに分かれており、100万円以上の借入の場合は15%、10万円以上100万円未満では18%、10万円以内は20%となっていました。この法律により、本来は多く借入がある場合でも支払う利息分が抑えられ、人間らしい生活ができるはずでした。しかし、この利息制限法というのが消費者金融会社にとっては法の抜け道となっており、次第におかしな方向へと進ませます。

グレーゾーン金利という元凶

消費者金融会社が法の抜け道として利用したのが、この利息制限法でした。出資法のでは、29.2%を超える貸し付けを行った場合、罰則が規定されていましたが、利息制限法では違反しても罰則はありませんでした。例と挙げると100万円を消費者金融会社が消費者に融資するという契約を結んだとします。本来であれば、この時の金利は最大でも15%であるべきです。しかし、利息制限法に罰則がないことを利用し、多くの消費者金融会社が28%程度の金利を借入額に関係なく採用していました。

銀行で借入をする場合、現在でもそうですが平均金利は100万円の場合14%前後となっています。これから考えると約2倍の利息分を支払わなければならないことになります。1年間、全く返済しないということはありませんが、わかりやすくするために返済しなかった場合、1年後にまとめて返済するとすると本来であれが支払総額は元金の100万円と利息分の15万円です。ですが28%の利率であれば元金と支払わなければならないのは28万円です。その差は14万円です。これは1年間の差であることを忘れてはいけません。

大きく動き出す金融業界

この正規の上限金利と29.2%までの差をグレーゾーン金利と言います。このグレーゾーン金利は消費者禁輸会社が作りだした負の遺産であり、自業自得とはいえその後の経営難を巻き起こす元凶となったことはいうまでもありません。

元凶となるグレーゾーン金利

100万円を借り入れした際に、グレーゾーン金利と正規の場合の差が14万円ではありますが、これは1年間の話であって、多くの場合借金は数年に渡って継続して利用しています。10年以上のケースも決して少なくはありませんが、単純計算してもその差は140万円になります。この場合、既に現金の100万円はとっくに超えています。これは一時期社会問題となったものの実際に法改正へと舵を取り始めたのは2007年からです。完全に施行されたのは2010年ですが、過払い金返還請求が大きな流れとなったのは2007年前後となっています。

先ほどの単純計算でもわかる通り、気づかない内に過払い金というのは高額になっていることが多いです。その為、一気に過払い金請求が行われるようになった2007年前後から5年間ぐらいは、金融業界特に消費者金融会社にとって暗黒の時代と言えました。覚えている方もおられると思いますが、2007年より以前は特徴的なテレビのコマーシャルなどを流す消費者金融が多数ありました。それほど資金に余裕があったと言えますが、そんな時代は過去の遺物となりました。

過払い金請求によって大きく変化

一時期の過払い金請求は、明らかに消費者金融会社の経営を圧迫しました。2007年の法改正によって定められたのは、それ以降の金融商品の上限金利を利息制限法の範囲内で行うとし、それに違反すると明確に罰則を科すというものでしたが、それ以上に大きなうねりを生み出したのが過去の契約も違法であると認めた所でした。

つまり2007年以降に発売する金融商品と共に、それまでグレーゾーン金利で契約していた商品も払い過ぎた過払い金として認定されました。この法改正が施行された当初、消費者金融会社は契約において金利は消費者が任意で行ったものなので支払う必要なはいと悪あがきをしましたが、これはとんでもない言い分です。そもそも法律違反をしていたことを棚に上げておきながら、そのような主張をした消費者金融会社への世論の意見は厳しいものとなり、一斉金利の引き下げを巻き起こしました。その上での過払い金請求の増加ですので、容易に経営難となるのは想像がつきます。これはあくまでも自業自得ですが、それによりリストラや倒産という憂き目にあったことを考えると経営陣の責任は大きいです。

過払い金請求の手続き方法

ここまで紹介してきた知識を踏まえた上で、過払い金請求を行おうと考えている方がどう行動をとれば良いのかを紹介していきます。ここでの知識は、のちに行う交渉の際に確実に役に立ちますのでしっかり把握しておきましょう。

気をつけなけばならない時効

今でこそ多数の消費者金融会社が多くの芸能人をコマーシャルに採用して広告を出していますが、これもここ3年ぐらい前からです。これは、過払い金請求の総数が減少してきたことにより経営が少しずつ安定してきたことが要因です。過払い金請求は永遠に手続きできるわけではありません。債務者が最後に債権者から借入をしたり、返済をしたり取引を行った日時から10年間と決められています。

この時効が重要です。2007年に多くの消費者金融会社が金利を下げ始めていますので、それ以降に新たに契約をした場合には、グレーゾーン金利が採用されていませんので過払い金の対象外です。それと共に2007年以前に取引を終えてしまった場合には、既に10年を経過してしまっているので手続自体を行うことはできません。もちろん、継続して取引を行っている場合には、過払い金対象期間のお金を取り戻すことができますが、その総数は着実に減り続けています。その為、少しでも心当たりがある場合にはできるだけ早い対処が必要です。2010年に法改正が完全施行されたことを考えると、全ての案件が時効を迎えるのも時間の問題です。

過払い金請求の手続き方法

過払い金請求は、個人でも行えます。今まで紹介してきた知識をもっていれば、直接消費者金融会社に連絡をとり、交渉を行えば過払い金請求はできます。しかし、消費者金融会社側はほぼ100%の割合で示談交渉をします。この交渉は、本来もらえるべき額とは桁違いに低いケースがほとんどですが、個人ではなかなか覆すのに時間や労力が必要です。

そんな時は、弁護士や司法書士に依頼します。よく地域のフリーペーパーなどをみていると無料の相談会の開催を目にします。これを活用しても良いですし、事務所に赴くのも良いです。もちろん、依頼するには費用が必要ですが、事前にお金を用意する必要は一切ありません。成功報酬制ですので、過払い金の中から1割から3割の費用が差し引かれますし、戻ってくるお金がなければ追加で費用を支払うこともありません。弁護士や司法書士からすると、過払い金が報酬を左右することになりますので、できるだけ満額を取り戻すように交渉を進めてくれますのでメリットは非常に大きいです。過払い金は平均して元金が相殺されるだけでなく、手元に数十万円のまとまったお金が戻ってきます。

まとめ

過払い金請求は、これまで力関係をひけらかしてきた債権者の権利ではなくあくまでも債務者の権利です。自分のお金を取り戻すだけですので、何も恥じることはありません。心当たりが少しでもある場合は、率先して行動を起こしてみましょう。

関連記事

  1. 新しい可能性を開く過払い金返還請求

  2. 過払い金返還請求で新しい未来を切り開く

  3. 過払い金返還請求権には時効があるので急いで手続きを

  4. 過払い金返還とクレジットカードへの影響

  5. 過払い金返還の額と必要な期間を検討

  6. 過払い金請求で取り戻す、平穏な生活