過払い金返還 借金生活からの脱出戦略

日々生活している中で、思いもよらない形だったり、気づかない内に増えてしまうのが借金です。どういう経緯で作ってしまった借金であっても、あれば生活の中心が毎月の返済というケースが少なくはありません。いかに早く日常生活に戻れるか、方法を探さなければなりません。

過払い金返還請求が一つの方法

過払い金返還請求を行うことによって、これまで苦しめられてきた借金が一気になくなることも決して少なくはありません。まずは過払い金返還請求の仕組みについて把握した上で、自分が該当するのか考えてみましょう。

多くのメディアでの特集

一昔前まで、過払い金返還請求という言葉は世の中のあらゆるメディアで取り上げられていました。最初は弁護士事務所や司法書士事務所が自社のホームページなどで掲載するだけだったのですが、正式に法律の改定がされると同時に、あっと言う間に広がりをみせ、1番多いときではテレビのゴールデンタイムにコマーシャルが流されるほどでした。これが今から5年から10年前の話です。それより前の時代を思い出してみると大手の消費者金融会社が、こぞって特徴的な宣伝や広告をテレビで流していたのを覚えています。その大手消費者金融会社の中には、現在倒産してしまっている会社もあります。その原因の大きな要因となったのが過払い金返還請求といっても過言ではありません。

思い出せば、過払い金返還請求が頻繁に行われた時は、消費者金融会社の暗黒の時代とも言えます。あれほど多くの消費者金融会社がコマーシャルを流していたにも関わらず、ひと頃は全く広告を打ち出せない程に経営的に疲弊していました。現在は、多くの会社が有名な芸能人を採用して宣伝をしておりますので、徐々に安定の時代に移行しているようです。

過払い金返還請求とは何か

そもそも過払い金返還請求とはなんでしょうか。詳しい経緯などは後述しますが、大まかに言うと払いすぎたお金である過払い金を企業から取り戻すことです。今から10年前に国の法律が大きく変わりました。簡単に言うと金融商品について、融資を企業から受ける場合に必ず融資を受けた側は返済する時に融資をした企業に元金と金利分を支払わなければなりませんが、この金利の部分を劇的でありながら正確に示した法律が改定されました。これによって巻き起こったのが過払い金論争です。

この法律では、改定後だけではなく、改定以前に借り入れ等を行った場合にも余計な金利分を払わされていたという事実を認定し、その差額を返還請求することができるとしました。この余計に払わされたというお金が、過払い金です。この過払い金を取り戻す為には、自分で直接消費者金融会社に連絡をして交渉を行うことももちろん可能ですが、専門知識がないとなかなか交渉自体がうまくいかなかったり、本来受け取れるべきお金の総額ではなく、何割も値引きされたような示談を持ちかけられたりします。その為、一般的には弁護士や司法書士に依頼するのです。

世の中の仕組みを変えた法律改定

過払い金を説明する上で、法律改定について知っておかなければ話が進みません。そもそもなぜ払いすぎるということが世の中の仕組みに組み込まれてしまったのでしょうか。ここでは法律改定までの流れを詳しく解説していきます。

金融関連で重要な2つの法律

金融商品について、金利に関連する法律として重要なのが利息制限法と出資法です。利息制限法とは、金融商品を購入した消費者が貸主から暴利の金利による搾取をされない為に定められた法律です。利率を適正に制限することによって、力関係の生じる貸主と消費者によるトラブルを未然防ぐ目的があります。ここで定められているのは、金銭消費貸借における利息と遅延損害金の利率の上限が決められています。

これに対して、出資法とは出資の受入れ並びに預り金及び金利などの取締りに関する法です。この文面からもわかる通り、出資の受入れや法などで制定された業者以外の業者が金銭の移動を業務として行うことを取り締まる法ですが、ここでも制定されているのは利息制限法と同じで金利についてです。どちらの法律も貸金業にとって非常に関わりがありますが、解釈によって様々な方向に影響を与えてしまいます。法改正が実際に施行されたのが2010年なのですが、この法改正まで金融業界で当たり前のようにまかり通っていたこの2つの法律の解釈の違いをついた矛盾が、過払い金請求の大きな流れへと変化していきます。

罰則があるかないかの違い

法改正の対象となった2つの法律の大きな違いは、罰則の有無でした。利息制限法の上限金利というのは借り入れ額によって変化します。大まかに3つに分かれていますが、100万円以上の場合の上限は15%、100万円未満10万円以上の場合は18%、10万円未満の場合は20%です。これに対して出資法の上限金利は借り入れ額に関係なく29.2%まで認められています。ここで2010年までの法律でおかしかったことが世間に明るみにでます。利息制限法の場合、それぞれの上限金利を超える金利、つまり20%を超え29.2%の範囲内であれば違反とはみなされず、罰則がありませんでした。

出資法の場合、金利の上限は29.2%とはっきり決められていますので、それ以上の貸し付けに関しては明確に違反となり罰則が与えられます。にもかかわらず利息制限法の場合は、20%を超える貸し付けは本来違反とならなければならないにも関わらず、罰則が科せられませんでした。この利息制限法下での20%から29.2%の間のことをグレーゾーン金利と呼ばれ、これが過払い金返還請求の対象となる目安になります。

グレーゾーン金利の撤廃

2010年に完全にグレーゾーン金利が撤廃されることによって、金融業界には過払い金請求の大きな流れが巻き起こりました。これにより、多くの消費者金融会社の経営難となり、経済界全体に大きな影響を及ぼしました。

許されなかった法律の抜け穴

利息制限法には罰則がなかった為に、多くの金融会社がグレーゾーン金利を悪く利用していました。例えば、100万円限度額の契約を企業と消費者が結んだとして、その金利を25%としていた場合、利息制限法では違反となりますが、出資法の上限範囲内である29.2%より低く設定されているために罰則が科せられず、法律の抜け道となってしまいます。ここで、貸主と消費者の力関係が少なからず影響しています。消費者が融資を受ける場合、様々な要因があるとは思いますが、ほとんどの場合でお金を借りなければやっていけない状況だったと考えられます。そのような状況の場合、まずはお金を貸してくれるならある程度のことは目をつぶるという気になっていることが往々にして考えられます。

そこで利用したのがこのグレーゾーン金利です。最大で9.2%の差は、一見大した額ではないと思われがちです。しかし、実際に考えてみるとかなりの額になります。100万円を29.2%で借入をしていた場合、単純に年に10万円程度の実際には支払わなくても良いお金が発生します。これが10年なら元金を超えてしまいます。

法改正による大きな流れ

このようなグレーゾーン横行の時代が長く続くわけはありませんでした。出資法の改正が2007年に始まり、実際に完全に施行されたのが2010年の6月です。これにより、グレーゾーン金利による金融商品の販売は完全にできなくなりました。ここで重要なのが、2010年以降の契約だけから適用されるわけではなく、過去に遡って違反と認められたことです。つまり、2010年以前に消費者金融会社などからグレーゾーン金利で借入をしていた契約が全て無効となり、本来支払い義務のない利息の差額分を過払い金として全て取り戻すことができるようになりました。

実際に法改正が施行されることが決まった2007年に多くの大手の消費者金融が軒並み金利を大幅に下げました。これは表面上は金利を下げた事によって過去の契約の詳細をあやふやにしてする目的があったと考えられます。恐らく施行が決定した時点では、多くの消費者の方々は意味がわからなかったことでしょう。実際に融資を受けていたことは事実ですし、毎月決まった金額を返済する日常生活にそれほどの変化が起こりうるとは現実味がなかったはずです。

過払い金返還請求の仕組み

過払い金請求は自分で行うこともできますが、適正なお金を取り戻したい場合には弁護士や司法書士事務所に依頼する方が一番です。ここでは依頼した場合の流れなどを紹介していき、しっかりとお金を取り戻す方法を知ってもらいたいと思います。

過払い金請求にも時効あり

過払い金返還請求を行う場合に、注意しなければならないのが時効です。過払い金返還請求は、最後に取引をした日から10年以上に行わなければなりません。それ以後は時効が成立してしまいますので、手続き自体ができなくなります。前述をしましたが、ほぼほとんどの消費者金融企業は法改正が行われることが決まった2007年から2008年にかけて金利の大幅な引き下げをしました。その為、それ以降の契約については適正な金利での契約が行われているはずですので、2018年以降のほとんどのケースで時効が成立している可能性が高くなります。

これが最近あまり過払い金返還請求のテレビコマーシャルなどメディアであまり見かけなくなった要因でもあります。対象となる案件自体の減少が大きな原因となっています。それでも、借り入れを行った金融会社によっては、2010年の完全施行までグレーゾーン金利での運営をしていたケースもありますので、まずは契約時の書類を確認する必要があります。現在有効なのは2009年以降の契約で、金利が20%よりも高い場合です。その場合はできるだけ早い対処が必要です。

弁護士や司法書士への依頼方法

弁護士や司法書士に過払い金返還請求を行う方法は意外に簡単です。機会は減ってきたと言っても、地域のフリーペーパーなどでまだ見ることがある無料相談会などを利用するのが一番近道です。もちろん、実際に事務所に赴いても相談を受けてくれます。多くの場合、過払い金返還請求では、相談や手続き自体に費用が発生することはありません。中には着手金が必要なケースもあるかもしれませんが、そのような事務所はあまり利用するべきではありません。

多くの弁護士や司法書士に過払い金返還請求を行う場合、成功報酬制度をとっています。これは過払い金として金融会社から取り戻したお金の何割かを報酬として支払います。弁護士の場合、1割から3割が相場で司法書士では1割から2割です。この違いは、司法書士の場合、1案件につき140万円までしか取扱いができないことに起因します。消費者金融会社から借り入れの場合、なかなか1社から140万円以上借りているケースは稀だと思いますので、より多くの過払い金を取り戻したい場合は司法書士でも良いですが、多くの場合示談交渉となりますので、心配な場合は弁護士の方が賢明です。

まとめ

過払い金は本来支払う必要がない消費者のお金です。時には現状ある借金の元金が全て相殺されるだけでなく、数百万円の過払い金が手元に戻ってくるケースも決して少なくはありません。心当たりが少しでもある場合には、弁護士や司法書士への相談をおすすめします。

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