ここ数年あまり耳にすることが少なくなった過払い金という言葉を、今ではあまり知らない方も多いかもしれません。ただ今現在借金生活を長年過ごしている方には、一発逆転とも言える方法の一つが過払い金であることを忘れてはいけません。
過払い金についての知識
一時期は、頻繁にテレビのコマーシャルなどで目にすることが多かった過払い金について、詳細に知っている方がどれくらいいるでしょうか。ここでは、過払い金請求を行う為にまずはその意味をしっかりと紹介しようと思います。
過払い金返還請求の意味
そもそも過払い金とは何なのでしょうか。過払い金とは文字通り払いすぎたお金のことですが、この意味はなかなか奥深いものです。これまで借金生活をしてきた人にとって、金利というのは重要ではありますが、毎月の一定の金額を返済することに頭が一杯になってしまうとあまり気にならないものです。特に毎月自転車操業のように、返済してはまた借入をするという生活をしているともちろん元金は減りませんし、状況の打開にはほど遠いものがあります。
一般的な日常を送っていれば、ある日宝くじに当たるようなまとまったお金が手に入ることもありませんし、コツコツ少しずつ返済するしかないのですがそれがなかなか難しいです。そのような状況をもしかしたら覆すことになるかもしれないのが過払い金でありますが、対象となる方は現状においてかなり少なくなっています。少なくなってきた今だからこそ、本当は返還請求ができるにも関わらず、行わないもったいなさがあります。しっかりと過去の自分の履歴を思い返して、正当な権利としての過払い金返還請求を行いましょう。きっと世界観が変わるきっかけになるはずです。
過払い金返還請求とは何か
過払い金返還請求とは、債務者が債権者に利息として支払った金額の一部が、本来支払う必要がなかったので返してもらう手続きのことです。一見よくわからないかもしれませんが、これが起こった経緯は今から約10年前の法改正でした。過払い金という言葉が頻繁にメディアなどで報道されていた時期と重なりますが、その当時より以前に消費者金融会社から借入をしていた方は当時のことを良く思いだして欲しいです。
当時の金融商品の金利の多くは、ほとんどの場合28%でした。現在の金融商品の上限が20%なので、今考えればとんでもない高利貸しです。ただ当時としてはそれが当たり前だったので、あまり不思議に思わなかったのです。現在の20%と当時の28%という数字をよく覚えていて欲しいです。これがその後大きなうねりとなる過払い金返還請求が、全国的に広がる要因となります。この8%の差は、正確には完全なる法律違反なのですが、消費者金融会社の業界が暗躍した結果、自業自得とも言える不遇の時代を迎えます。過払い金返還請求が頻繁に行われるようになった当時のことを、後述したいと思います。
過払い金返還請求のきっかけ
2007年から始まった法改正によって、それまで隆盛を誇っていた金融業界を激震させることになります。ここからは過払い金返還請求が引き起こされきっかけとも言える2つの法律について、詳しく説明していきたいと思います。
似て非なる出資法と利息制限法
金融に関して重要な法律の中に、特に金融商品の利率に関する方が出資法と利息制限法です。出資法とは、正規に認められた業者以外が利率を高く設定し、国民の生活が著しく阻害されてしまうのを防ぐ為に、上限金利を制限した法律です。出資法の上限金利は、29.2%と定められており、これに違反した場合には、明確に罰則が科せられます。これはどのような業者であったとしても例外はありません。
これに対して、利息制限法は国民が金融商品を購入する場合、多額の借入に対して支払う利息分が大きくなりすぎない為に借入額に応じて、上限を設定したものです。大まかに3つに分けられており、10万円未満では20%、10万円以上100万円未満の場合は18%、100万円以上は15%となり借りている金額が大きければ大きいほど支払う利息の総額が考慮される仕組みになっています。本来であれば、消費者金融会社が取り扱う金融商品には後者の法律が適応されますので、現在の最大の上限は20%です。しかし、今から10年ほど前には、この守られるべき法が消費者金融会社によってごまかされ国民の生活を著しく崩していました。
グレーゾーン金利の闇
過払い金返還請求の大きな流れが起こったのが、グレーゾーン金利といわれる法の抜け道でした。グレーゾーン金利とは簡単に言えば、出資法の上限である29.2%と利息制限法の上限との差です。本来、消費者金融会社が取り扱う金融商品に適されるのは、利息制限法の上限であるにもかかわらず、出資法の最大利率を超えなければ明確な罰則が科せられないという法の抜け道を利用した金融商品の販売を2007年以前は平然と行われていました
このグレーゾーン金利をよく考えて欲しいと思います。例えば、100万円を10年間借入をしていたとします。通常であれば、10年後に支払う総額は大まかに元金である100万円と1年間の利息分の15万円の10倍である150万円を足した金額です。もちろん、この間1回も返済しなかったなんてことはありませんから、総額はかなり変化しますが、わかりやすくするためにこの例で考えます。法改正以降の金融商品では、このような計算がされています。しかし、グレーゾーン金利が適用された金融商品の利息分はこんなものではありません。次の章でこの闇について紹介します。
グレーゾーン金利による経営難
グレーゾーン金利が間違いなく金融業界を震撼させましたが、これは自業自得です。グレーゾーン金利という明確な法律違反を罰則がないからと言って自社の利益追求のみを追い求めた結果、とんでもない経営難へと加速します。
グレーゾーン金利による差額
前述しましたが、通常100万円借入を10年間した場合に支払うべき総額は250万円です。しかし、2007年以前のグレーゾーン金利を適応した消費者金融会社の金融商品ではほとんどの場合、借入額に変化なく28%という高利でした。これは今考えれば全く意味がわかりません。通常よりも13%も高い利率であり、単純に支払総額が倍程度になります。10年間で1度も返済をしなかったとすると3年あまりで元金を超えてしまいます。
このグレーゾーン金利は、長い間暗黙の了解として継続されていました。本来金融商品に関する2つの法律は、国民の生活を守らなければならないはずなのにこの当時は消費者金融会社の利益を守る為に存在しました。普通は3割弱という高利を消費者がおかしいと気づいて発言するはずですが、これができない理由もなんとなくわかると思います。債権者と債務者の間には、絶対的な力関係があります。まして継続して借入をしていると文句をつけて契約を解消されてしまうのではないかという恐怖から、何も言えないケースがほとんどでした。正しい意見を正しい方法で発言する機会がなかったのです。
金融業界は暗黙の時代へ
ただこのような時代は長くは続きませんでした。2007年以前から徐々にこれはおかしいとされてきましたが、明確に動き始めたのが2007年からです。当時、消費者金融会社は大きく反発をします。自社が販売する商品は契約の時に消費者が任意で認めた利率であり、何の問題もないとしたのです。明らかな法律違反ということを棚上げにして、勝手に支払っているのは消費者だろうとでも言いたかったのでしょうか。
そんな意見が通るはずもありません。2007年に正式に法改正がされ始めると消費者金融業界は、一気に方向転換を始めます。大手の企業が軒並み金利を下げたのです。この目的としては、すでに始まりつつあった過払い金返還請求への目をごまかすことでした。消費者の一部は、急に半分程度まで金利が下がることによって、毎月の返済額も明らかに減るので、得した気分になります。過払い金返還請求の方法もしっかりと浸透していたわけではありませんので、別に行動を起こさなくてもいいと思うケースが続出しました。それが狙いだった訳ですが、1度も始まった大きな流れは結局止まることはなかったのです。
過払い金返還請求の方法
いざ過払い金返還請求をしようと思っても、どうすれば良いのかわからないというケースも少なくはありません。な今回は、今まで紹介してきた知識をもとにどのような手続きし、行動するべきなのかを紹介していきます。
過払い金返還請求の時効
過払い金返還請求の大きな流れは、それまでの消費者金融会社の経営を圧迫していきます。それまではテレビのゴールデンタイムに多くのコマーシャルを放送していたほど潤沢な資金がありましたが、一気に賠償の流れが動き始めたのが、リストラだけでなく倒産が相次ぎました。今では多くの会社が持ち直し、芸能人を採用したコマーシャルを流しています。このような今の現状になった理由は、明確です。
過払い金返還請求ができる期限とも言える時効は最後に取引した日付から10年間と決められています。つまり2007年に法改正が始まったので、当時に取引をやめた場合2017年に時効を迎えていることになります。法改正が完全に施行されたのは2010年なので、まだまだ案件としては存在しますが、徐々にその総数が減ってきているのは間違いありません。一時期は、すべての消費者金融会社がつぶれてしまうのではないかとまで言われていましたが、その時代を乗り切って経営を続けている業者が今盛り返しています。もちろんこの時効というのは、継続して取引をし続けていれば更新されていきますので確認が必要です。
過払い金返還請求の方法
少しでも過払い金返還請求に心当たりがある方が、実際に手続きをしたいときにどうすればよいのかというと個人で行う場合は消費者金融会社に問い合わせをします。この時、借入をしていたときの明細などがあると話が進みやすいです。消費者金融会社には必ず取引履歴が残っていますので、それを取り寄せる自分で計算し、相手側に提示します。
ただ自分で交渉するとなかなか進みません。相手は言葉巧みに低い金額での示談交渉を進めてきますので、個人では限界があります。そこで弁護士や司法書士に依頼しましょう。専門家に任せた方が、満額の過払い金を取り戻すことにつながりやすいです。もちろん依頼する場合には、費用が必要になりますが事前に費用を用意する必要はありません。多くの場合で、成功報酬制をとっていますので、戻ってきたお金から何割か差し引かれます。大体の相場は1割から3割ですが、もともと意識していなかったお金ですので、問題ないのではないでしょうか。戻ってくるお金が少ない場合には、あくまでも成功報酬制なので追加料金が発生することもありませんので得はあっても損はありません。
まとめ
本来過払い金は、支払う必要ではなかったお金であり、債務者のお金です。ケースによっては、数百万円あった元金が全てなくなった上で、更に数百万円のお金が手元に戻ってきたということも少なくありません。心当たりがある方は一度相談してみましょう。